1978年の夏は雨がなく、暑さ続きの異常な夏だった。秋になってから気がついたのだが、今年(1978年)はケヤキの夏の落葉現象はなかったように思う。毎年東京大学(文京区本郷)の構内のケヤキは、夏の終りには落葉が始まり、ほとんど裸になってから新芽が開きはじめ、それが十分開ききらぬうちに冬の寒さに当ってまたちぢれ落ちる、ということを繰返してきた。この現象は1966年夏に東京でPacific Science Congressが開かれた年から始まったと記憶している。その年の夏に強い台風がやって来て、そのあと東大境内のケヤキは一斉に落葉した。この台風は風台風で、送電線に塩害をもたらしたりしたので、この落葉も塩害によるものと思っていたのだが、それ以後毎年夏の終りに落葉がおこるようになった。こゝ数年そういう現象が時々新聞種となり、排気ガス公害だの都市化の影響だの云われているが、別に確たる根拠は示されないままでいる。
私は近頃は勤めが変って、東大の中をいつも見ているわけではないのでどうもしっかりと記録できないのだが、1978年の晩夏には東大構内のケヤキの落葉は目立たず、葉はかなり繁ったままだったと憶えている。起らなかった現象を記録するのは大変むずかしい。どなたか気がついた方が居られるだろうか?
[野草47(374): 27(1980)]
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