Improved methods of making dried specimens
長期にわたる旅行の際、どうしても簡便な植物の乾操法が必要となる。新聞紙にはさんだものを液浸してポリ袋へ保存する方法も外国の通関や検査のトラブルとなることがある。1960年のシッキム採集では冨樫誠氏考案のジュラルミン「すだれ」(標本をはさむ新聞紙に接する面が平たくできている)と東大製のプレスとが偶然よく組み合わさってよい結果を得た。これを元にして国内でも乾燥紙交換の手数を省くことを目的として工夫してみた。まず新聞紙にはさんだ標本と「すだれ」を交互に重ねて紐でしばって、電熱乾燥器の中に置けば、テンナンショウのようなものでも放置するだけで完全に乾燥する。植物が乾くにつれて紐がゆるむ点は、紐の代りに自転車などの荷台で使うゴムバンドを使えばよい。紙を乾かす位の温度ならゴムに影響はない。
太い茎のかげの部分に圧力がかからず、シワになる欠点は、モルトプレンシート(薬ビンの中などにあるスポンジ)を新聞紙の1頁大に切って、「すだれ」、標本、モルトプレン、標本、「すだれ」の順序に重ねると解決する。このスポンジの使用はきわめて有効である。このようにしたものは野外での火力乾燥には、ゴムバンドをのぞけば有効と思う。特に自動車を使う採集の場合、こうやってセットしたものを屋根にくくりつけて走り、或は排気ガスを通すように工作すれば便利だろう。
[後日譚:この実験は失敗した]
熱をかける為にロウ質がとけてしまったり変色したりするのが欠点とされているので、加熱せずに乾燥する方法も考慮中である。除湿機を使って作った乾燥室をポリエチレンのダクトで上記の通りセットしたものに通気したところ、かなり時間がかかるが一応の成功をみた。ただし送風量、空気もれ、温度調節などの点に改良の余地がまだ多い。加熱乾燥だと「すだれ」を使ったものでも周辺部はよく緑が残るのに中央部が変色することが多く、これは通気が悪いためにいわば「ゆだった」状態になるためと思われるので強制的に通気する方法がよいのではないかと思う。
[植物研究雑誌39(1):12(1964)]
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