Heat seal method,a new idea on mounting specimen
我が国では標本を貼付するには紙テープと糊によるのが常道である。東大での方法は和紙にアラビア糊を塗って乾かしたものを細く切っておき、必要に応じてこれを更にアラビア糊液でぬらして貼付に用いている。この糊付和紙は特注品あるが、最近は手数がかかるため職人が作るのを好まなくなっている。と云って、ただの和紙とアラビア糊では接着に時間がかかり、強度も落ちる。また湿式であるために色々と不便も多く、理想的なやり方とは云い難い。
ここに紹介するのは、簡単に云えばポリエチレンを接着剤として紙テープをハンダ鏝で熔着する方法である。最も原始的には紙テープと台紙の間にポリエチレンシートの小片をはさみ、熱いハソダ鏝で圧せばよい。しかしこれではポリシート片をはさむのに手間がかかり、熔けたポリエチレンがはみ出したりして見映えが悪い。白色のポリエチレンラミネート紙が手に入ればこれを細く切って用いるのが最も便利である。これが手に入らなければ、ゴム板の上にポリシートと和紙を重ねてアイロンをかければラミネート紙を作ることができる。ハンダ鏝は先端を斜形に削って圧着に便利なようにし(Fig.1)、柄を切り縮めて扱い易くする。温度が上りすぎると紙を焦がすので、適当な電流調節装置をつけるとよい。このようにして貼付けた標本は、従来の方法によるものと外見上全く差は無い。しかもテープの接着カはアラビア糊より強く、小面積の貼付で目的を達することができる。また瞬間的に固着するので貼付作業の時間を短縮できる。紙テープはポリエチレンで裏打ちされて強化されるので、従来のものより薄いもので足りる。また鏝を当てたままテープを引張ると簡単に切ることができるので、従来の様にあらかじめ鋏で切る必要がなく、手数が大変省ける。
ラベルや小袋などを貼付するには、その下にポリエチレンシートの小片をはさんで数ケ所で熔着すればよい。またこわれ易い花などは上にポリシートをかけ、周囲を紙テープでふち取りしながら熔着する。
[植物研究雑誌47(4):120-121(1972)]注)本書収載にあたり図とSummaryは割愛した。
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