Interpretation of ICBN Art. 30.1 and 30.2
本紙71巻4号、大橋広好氏の「Bupleurum ajanenseの有効発表とその正しい著者名」の中に、「オフセット印刷による資料で新学名を発表することは1953年1月1日以後は無効である」とあったのが、ちょっと気になった。本誌をはじめ今日の大部分の出版物はオフセット印刷だからである。そこで東京コードの原文を参照してみたのだが、第30.1条は、「手書き原稿の抹消不能な肉筆石版刷(indelible autograph)による出版は、1953年1月1日以前のものは有効である」と読めた。また第30.2条は「抹消不能な ‘autograph’ 」の補足説明で、autographが(英和辞典によれば)肉筆石版刷と限定される用語なので、もうすこし拡大解釈を加えたものと思われる。すなわち、「indelible autograph」とは手書き原稿をなんらかの機械的、図画的(graphic)手段(例えば平版、オフセット、金属エッチング)で複製したものをいう」とある。つまりこの二項の趣旨は、手書き原稿の形の出版物をいつまでみとめるかということであり、1953年1月1日以後の印刷手法を規制するものではない。活字が絶滅しつつあり、写植やDTPのオフセット印刷が主流の時代なのでちょっと心配したのだが、命名規約などめくったことのない人間が、よい勉強をさせていただいた。
[植物研究雑誌72(4):250(1997)]
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