Raw Plant Material Preserved in Laminated Film
ラミネータを用いていろいろなものをフィルムに封入することは、運転免許証などのカード類、野外用名票、商品サンプルなどでよく目にする。おし葉やおし花のラミネートは専ら趣味やみやげ物として使われているが、研究用にはかえりみられていない。私は教材や提示用標本として、おしばのラミネート標本を作っている。市販のラミネータでははがき大からB4サイズまで作れる機種があるので、頻繁に提示するおしば標本を封入しておけば、破損や虫食いの心配がないので、保存について神経を使わずにすむし、子供や初心者の乱暴な扱いにも耐えられる。また、はがきサイズに葉だけ、花だけというような標本を作れば、カードボックスに大量に収納できる。こういう一部分だけの標本は従来は避けるべきものとされているが、この様な情報不足の標本は、ちょうど百人一首のかるたのように、工夫次第で多様な使い方ができるので、とくに教育用として注目してほしい。これらの封入に用いるのは、もちろんいろいろな手段で乾燥した植物体である。
封入の際、なにも手を加えない「生」のヤブカラシとフッキソウの葉を、ためしに使ってみた。肉厚でどうせすぐに腐ってしまうだろうが、どんな具合になるか見るつもりだった。ところが5年を経過しても両方とも外見的な変化はおこっていない。ヤブカラシの方は教材として回覧中に失われた。封入の方法は以下のとおりである。ポリエステル製のラミネートシート(パウチフィルム)は、はがきサイズを用いた。標本台紙をこれより縦横1cm小さく切ったものに、生の葉をのせてフィルムにはさみ、ラミネータ(MSパウチ)に通すと熱熔着で封入できる。通過速度は密着性をよくするためと滅菌を兼ねて、低速にした。封入時の温度は120-160度とのことである。しかしフィルムが圧看ローラーを通過する時間は数秒にすぎないので、植物体がこの温度で十分加熱されるとは思われない。台紙は裏面に観察メモなどを記して封入するためと、情報不足状態をことさら保つために使ったが、なければ密閉性はよりよくなる。しかし封入後、生葉から浸出する液体が紙に吸収されるので、これが保存性に関係あるかもしれない。フッキソウは葉柄がラミネートの進行方向へ向いていた葉と逆方向に向いていた葉が偶然でき、後者では体液の浸出が認められたが、前者では認められなかった。そして5年後では前者はまだ緑色を保っているが、後者ではやや黒ずんでいる。
軟組織の保存には、従来は保存液中に蓄える液浸標本が用いられている。このラミネート標本も一種の液浸標本といえるが、薬剤を用いておらず、植物体は生ゆで状態で封入されることになる。これで長期間の保存ができるとは予想外だったが、いろいろな種類や部分でさらに試みる価値がある。フィルムを切れば中身をとり出すことができる。材料と目的によっては極めて扱い易い、新しい標本形態といえる。組織や成分がどの程度保存され、封入の条件でどう変わるかは確かめていないが、少なくとも表面の状態は生葉と変わりがない。
[植物研究雑誌70(6):346(1995)]注)本書収蔵にあたりRésuméは割愛した。
編集部注:原文の企業情報等は一部割愛いたしました。
=休業日
土曜・日曜・祝日・GW休暇・夏季休暇・冬季休暇(年末年始)
アボック社は(一社)日本公園施設業協会の審査を経て「公園施設/遊具の安全に関する規準JPFA-SP-S:2024 」に準拠した安全な公園施設の設計・製造・販売・施工・点検・修繕を行う企業として認定されています。
© 2000- Aboc Co., Ltd.