Heat seal, a new mounting technique of herbarium specimen
先に本誌47:120(1972)において本法の概要を発表しておいたが、その後改良を加え満足すべき結果を得たので報告する。既報の如く本法の骨子はポリエチレンラミネート紙のテープをハンダ鎮を用いて台紙に熔着するというものである。
まずラミネート紙であるが、これは市販品があることを知った。きわめて薄い和紙又は化繊紙の片面にポリエチレンをラミネートしたもので、南国パルプ工業の製品はヒートロンとよばれ、東京加工紙製のものはラミコートという。この種の紙は最中などの和菓子の包紙によく用いられているので、少量ならこれを利用できる。紙質はヒートロンではPCS 30g/㎡が適当だった。この紙は何枚も重ねると互に滑ってしまって切り難い欠点があり、後述のような商品としてテープを製作する場合には幅7mmより細くは切れない。テープを手製するならば4mmと8mmの2種類を用意するとよい(図D、E)。次にハンダ鎮であるが60-80Wのラジオ用がよい。先の太いものは先端を約30°に斜に削り、面を長方形にヤスリで仕上げる(図C)。先が細い鎮は先端をたたきつぶしてから角度をつけて曲げる。先端は約90°の角度をつけて左右を削っておく(図B)。使い心地のよさは折り曲げる角度と先端の形で決まる。柄は適当に切り詰めた方が使いやすい。そのまま通電すると紙を焦がすので、直列抵抗を入れて電流を弱める。60Wの鏝に対して80Wの白熱電球を入れたら適温が得られた。可変抵抗を入れれば更に便利である(図A)。
この道具を用いて標本を貼付けるのは至極簡単である。前記のテープをラミネート面を下にして台紙上に置き、鏝で軽くなでれば即座に熔着される(図F)。テープを必要な長さに前以って切っておく必要はない。鏝を平に当てたままテープを捻り気味に引張れば簡単に切ることができる(図G)。この点は従来の紙テープと違って大変便利である。テープが薄いので、切口がささくれていても全く気にならず、また葉や花の上にかかるテープも同じ理由であまり邪魔には感じられない。
テープは薄くても丈夫なので、従来は糸でかがりつけねばならなかった太い枝や果実も十分とめられる。台紙への接着力はアラビア糊より強力で、熔着が十分ならはがれることはまず無い。テープを途中で継ぎ足したり、T字型にとめたり、葉や果実の表面に熔着して貼付を補強することもできる。 弱くて大きい花や崩れ易い果実などには、次の方法できれいで永保ちするカバーをかけることができる。先ず花の上に大き目のポリエチレンシートをかけ、花のまわりにテープを置いて鏝を点々と当てて行くとシートは台紙に熔着される(図H)。次に鏝を立てて先端でテープの外側をなぞって行くと、余分のシートを切り離すことができる(図I)。これが済んだら鏝の腹でテープを押えて十分な熔着を行なう(図J)。標本の破片などはうすい紙袋に入れ、テープを2本かけてぬきさしできるようにとめる。ラベルやノートのような大きな紙片も本法で貼ることができるが、時間を喰うのでアラビア糊で貼る方が能率がよい。
本法の長所はテープの切り方が簡単であり、標本の仕上りがスッキリしていることにあるばかりでなく、ちょっとさわれば一瞬のうちに固定されるので、糊が乾くまでに弾力で持ち上ったりせず、しっかりとめるために力を入れておさえつけたりする必要がない点にもある。標本室の種カバーや属カバーに学名を記す際にもこの種の紙にタイブライトして熔着すれば手際よくやれる。その他本法は多方面に応用できる可能性がある。本法のセットは双葉製作所が試作し、「ラミントン」という名で市販していることを付記する。
Fig.1
()H-J. How to cover fragile portion
[植物研究雑誌49(3):86-88(1974)]注)本書収載にあたり原文のRésuméは割愛した。
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